自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.40 2016 冬

あののぉ vol.40 2016 冬

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〔お宅訪問〕古材とともに暮らす


良いものを使う。長く使えるもの、本物を使う。
すると年月を重ねるごとに魅力が増してゆく。
白木の檜フローリングは飴色に、焼杉の外壁はより風景にとけこんで。
新しさだけではなく、その変化の美しさがある。
だから、古材もこの家に馴染むのかもしれない。


昔ながらの日本家屋で育ったIさんご夫妻にとって、土間のかまどで炊くご飯や、ちゃぶ台を囲む家族の笑顔、それが暮らしの原風景でした。30年前にこの家を建てる時も、宮大工だった伯父様の影響やお祖父様の希望で純和風の家となりました。やがてお子さんが独立し住まい手が夫婦のみとなった時、昔ながらの大きな座敷は具体的な用途をなくし、独立した台所はお子さん家族・お孫さんが遊びに来た時みんなそろって食卓を囲むには不向きでした。そこで新築から25年、集まる家族が楽しめる家にしたいとリフォームを決意されました。
外壁はもとの建物と同様に焼杉を使い、漆喰とのコントラストが美しい土蔵風の姿に。座敷中心で細かく仕切られた間取りは、一段高くなった畳スペースと、吹抜けのダイニングキッチンがある間取りに変わりました。腰掛やすい中央の畳スペースは「かしこまらずにお茶を楽しんでほしい」という奥様の思いにぴったりな空間です。ダイニングは大空間でも暖かくくつろげるように床暖房を据え付け、冷暖房の効率とお部屋の使い方の幅が広がるように引き込みの障子で仕切りました。吹抜けを大胆に横切る3本の古材の梁は、三豊市仁尾町にある古材と薪ストーブのお店「古木里庫」で見つけました。古材ならではの濃い木の色は、その木がまとう時間を感じられます。インテリアを選ぶ際、この存在感のある梁を基調としてイメージを広げました。「日本人らしい生活をしたい」と和の素材や造りを取り入れながらも、現代の要素をさり気なくおりまぜたインテリアがIさんらしい、居心地の良い空間を作り出しています。


暮らしを変えるリフォーム

リフォームから5年。音楽を聴きながらキッチンに立つのが奥様の大好きなひとときとなっています。夜、ふと見上げた小窓にちょうど月がかかることもささやかな喜びです。「このリフォームがなければお客さまを招くこともなかったと思う」とおっしゃいます。シーンに合わせた設えをし、少しずつ集めた器をセレクトし、お招きしたお客様とお茶を淹れながらおしゃべりを楽しむ時間はこの家がくれたもの。おもてなしの機会が増えたことで、骨董市に出掛けて食器やお部屋のインテリアを探すことも楽しみのひとつに加わりました。今は、キッチンにカウンターテーブルをつけようと計画中。「新築はゼロからだけれど、リフォームは限られた範囲で出来ることを考える。この家だからこそやってみようと思う。」とリフォーム後も自分たちの暮らしを楽しむことに前向きなご夫婦。使いやすさや、暮らしの楽しみを増やすリフォームは今も進行中です。

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〔森里海から No.40〕大内宿(おおうちじゅく)


文・写真 菅 徹夫

 2年前の秋、福島県会津若松市にある「大内宿」を訪れる機会がありました。ここは「重要伝統建造物群保存地区」(伝建地区)にも指定されている集落です。
 江戸時代の町並みを今に残す宿場は下野街道と呼ばれた会津と日光を結ぶ街道の両脇に、茅葺き屋根の民家が並び、江戸へ向かう大名や旅人の宿駅として重要な役割を果たしていたようです。 軒以上の茅葺き屋根の民家が並ぶ様子は壮観で、現在も年間100万人以上の観光客が訪れ賑わいを見せています。(「おいでよ!南会津」WEBページ参照)
私が訪問した際も数多くの観光客で賑わっていました。
 伝建地区だけあって建物の保存状態は素晴らしく、これだけの数の江戸時代の建築物を群として現在に保存できていることは驚嘆に値します。またそれらの建築群がつくり出す街並みはまさに日本(会津)の原風景といった風情で美しいです。街道の両側、すなわち家屋群の店先には豊富な湧水が流れています。この透き通った美しい水はいまでも生活用水として利用されるとともにその用水路は街の景観をつくる重要な要素として存在しています。裏山には茅葺屋根の材料になるススキの群落、いわゆる茅場がところどころに残っています。屋根の補修には、おそらくこの茅(ススキ)が使われるのでしょう。


 日本の伝統的古民家群として一見の価値のある大内宿ですが、一通り見て歩いた後なにか物足りなさのようなものも感じました。それはほとんどの建物が同じようなお土産物のお店になっていてその建物での生活感が感じられないこと、いわゆる観光化していて街や建築群は展示物のような位置づけになってしまっていることからくるのだと思います。大内宿ではやむを得ないことだと思いますが、全国に残る古民家や空き家の問題を考えるとき建築物の「保存」と「再生・利活用」をバランスよく考えていくことが重要なことだと改めて思った旅でした・・・。

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〔大工のはなし〕第3回『鉋(かんな)のための鉋(かんな)』


木材を鏡面のようにつややかに仕上げる大工道具「鉋」。刃の手入れはもちろんのこと、鉋と木材が触れる面(下端)の調節も、大切な手入れのひとつです。平らに見える下端ですが、台頭・刃口・台尻の間がそれぞれ0.1ミリほどくぼんでいます。また手前と奥でも若干高さが違います。その微妙な違いを削って調節するのが台直し鉋です。通常の鉋は正しく使うと、なめらかで薄いリボンの様な削りかすが出てきます。より細かく削る台直し鉋は刃が直角についており、削りかすは粉状になります。

写真:通常の鉋(写真奥)は、「カンナ刃」とその補助をする役目のある「押え刃」を密着させ、2枚で削る仕組みになっています。台直し鉋(写真手前)は「カンナ刃」1枚のみが直角についています。

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〔お知らせ〕2016冬至 100万人のキャンドルナイト -古材と1000個のキャンドルー


炎のゆらめきをみつめて
何もない時間を過ごす。
やさしい灯りのそばで
大切な人とのひととき。
2度とない瞬間を写真にのこす。
古木里庫がお届けする
特別な夜を
思い思いにお過ごしください。
でんきを消して、スローな夜を。


日時:2016年12月17日(土)19:00~21:00(18:30開場)
場所:古木里庫(こきりこ)三豊市仁尾町仁尾乙264 
料金:入場無料  駐車場:あり
問合せ:TEL:0875-82-3837 FAX:0875-82-3844
    http://www.kokiriko.jp

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〔information〕

雑誌掲載情報


左:『建築知識ビルダーズ26号』2016年8月 発売
住宅デザイン学校卒業生に聞く伊礼智直伝ノウハウ&実践的ディテール

中:『IKUNAS vol.4』2016年9月 発売
~さぬき暮らしの描き方~讃岐の風景に深く根ざして暮らすということ

右:『チルチンびと別冊50号』2016年11月 発売
「地域工務店が建てたOMの家」越屋根にOMソーラー讃岐の風景になじむ家



古木里庫に「愛農かまど」がつきました。


「愛農かまど」とは、戦後、物が不足して薪を手に入れることさえも難しくなってきた頃、「全国愛農会」の料理研究家の先生が開発した、少ない薪で同時に3か所で調理ができるかまどのことです。古木里庫では、専用の木型をもとに全国で復刻活動を行っている野呂由彦さんご指導のもと、お集まりいただいた皆様とともにかまどづくりを行いました。火入れ式では、羽釜で炊いたご飯や豚汁、窯スペースではデザートピザも作り、おいしく頂きました。今後もかまどを使ったイベントを計画しておりますので、ぜひご参加ください。


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