自然と寄り添う暮らし

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あののぉ vol.45 2018 春

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〔お宅訪問〕思い描いた暮らし


 お気に入りの雑貨や希望の家具が描かれた住まいのスケッチ。「頭の中で何度引っ越ししたか分かりません」と微笑む奥様の絵をみていると、当時これからはじまる暮らしへ寄せた胸いっぱいの期待が伝わってくるようです。


心地よい居場所

 Mさんご家族はすでに住まわれていた土地に、ご夫婦とお母さまが住まう3階建ての2世帯住宅を計画しました。奥様が描いた具体的なスケッチをもとに、設計士が壁の厚みや窓の大きさなどの専門的な内容をふまえて再提案し、ほぼ思い描いた通りの住まいが完成しました。構造はSE構法。木造3階建てでも強度があり間取りの自由度が高いという、設計士からの提案でした。
 1階はお母さまの住まいです。お母さま自らの希望で小物を飾るスペースを設けたり、寝室に濃紺の壁紙を選んだり、奥様同様新しい暮らしを思い描きながら家づくりを楽しんだそうです。
 2階から上はご夫婦が暮らす住まいです。台所の棚にはミシンやアイロンが収納され、家事室としても活躍します。作業台にも使える半円のテーブルでは、ご夫婦そろって食事をいただくそうです。ペアで集められた様々な箸置きや、小さなお盆に用意された2人分のお茶セットから、仲の良いお2人の様子が垣間見えます。2階中心に位置する部屋には収納棚があり、扉を開くと6段の雛人形が現れます。県外で暮らす娘さんが大切にしているもので、季節になると小道具を持たせ、扉を外して眺めるのだそうです。片隅にある1畳ほどの書斎コーナーはご主人愛用のアイテムが並ぶ、隠れ家のような一角になっていました。
 3階はお客様を招くことも多い居間です。オーディオコーナーには、CDとレコードのジャケットを見せるために設けられた飾り棚や、あえて小さくデザインした窓など、奥様の描いたスケッチが絵から飛び出したように希望通りに再現されていました。ミニキッチンとカウンターバーもあり、ここは音楽を聴きながらお酒を味わえる最高の空間になっています。奥様がピアノの演奏を披露することもあるそうです。


 Mさんご家族が暮らす町では、夏には花火が上がり、秋はちょうさ祭りが開催されます。長年この場所で暮らした経験を活かして配置したバルコニーでは、建物に遮られることなく、大輪の花火を眺めながらビアガーデンが楽しめます。また窓の位置も、前の住まいで不便だった場所を避け、日のあたる向きや景色を最大限に取り入れることを考えました。今ではお孫さんが窓から窓へちょうさを追いかける姿をほほえましく見守っているそうです。
 休日は2人で出掛けることも多いというご夫婦。旅行先で郷土料理に舌鼓を打ち、その土地の景色を眺めながらのサイクリングなど、旅を満喫した後は旅館でゆっくりするのもいいけれど、我が家の居心地の良さを思い出し、はやく居間でくつろぎたくて日帰りを選んでしまうそうです。
 まさに思い描いたものが形となったM邸。そこでの暮らしは、思い描いた以上に満たされた毎日となりました。


観音寺市M邸
2017年2月竣工
延床面積
173.28㎡(52.50坪) 
構造:SE構法3階建て
設計・施工:(株)菅組

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〔大工のはなし〕第7回『いの一番』


とある現場で出番を待っている木材たち。よくみると暗号のようなものが墨付けされています。これは「いろは」と「漢数字」を組み合わせた「番付け」とよばれる通し番号です。図面には縦横それぞれにいろはと漢数字がふられていて、その組み合わせで図面内の柱の位置を見分けます。社寺建築では「いの一番」の柱から建て始めるため、「真っ先に」という意味の「いの一番」の語源とも言われています。私たちには馴染みの少ない「いろは」ですが、技を受け継ぐ大工の仕事には、こうした先人たちの術が当時の形で残っています。


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〔森里海から No.45〕コバノミツバツツジ


文・写真 菅 徹夫

4月、桜が終わるころ讃岐の山を彩りはじめるのがコバノミツバツツジ。小さな紅紫色の花をつけるこの樹は、讃岐のおむすび山に点在して讃岐の風景をつくります。ソメイヨシノではなく、ヤマザクラが3月の後半から4月にかけて讃岐の里山を彩るのを第一弾の春とすれば、コバノミツバツツジは讃岐の春の第二弾の風景を形成する花ですね。山あいに点々と咲くので、地元では「ヤマツツジ」と呼ぶことも多いのですが、実際にはヤマツツジは5月頃に花を付ける別の種類のツツジです。讃岐の春を象徴するツツジは、やはりこのコバノミツバツツジだといえます。名前の由来は「小葉の三つ葉つつじ」と書く言葉そのもの。三つ葉つつじのうち特別葉の小さい種で、桜と同様新芽が出る寸前に開花するため、花が一面に咲き乱れ美しい光景を醸し出します。
コバノミツバツツジは讃岐に特別ゆかりのある花というわけではなく、西日本の日当たりの良い赤松などの二次林に多く見られるツツジです。しかしながら、おむすび山と呼ばれる里山が各地に点在する讃岐平野には実によく似合う花だと思うのです。おむすび山、ため池、そしてベーハ小屋や出水・・・讃岐の特徴的な風景はこれらが各地に点在することです。かつてベーハ小屋があちこちにある風景を、継時的に場面が展開し小説のようにストーリーが組み立てられることに似ているとして、「点在という街並み」と呼んだことがあります。このように「群生」ではなく「点在」がつくる風景こそが讃岐らしい風景だと私は思うのです。
コバノミツバツツジも讃岐の里山に点在して山を彩ることが多いのですね。そういう意味でも讃岐らしい風景といえるのではないでしょうか。讃岐の里山の春の風景をつくるコバノミツバツツジ、この春是非注目してみてください・・・。

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〔工事現場紹介〕シンコール社屋 新築工事


高松市の現場で木造施設の建設が進んでいます。この現場では「CLT」と呼ばれる新素材が使用されています。CLTとは木の板を繊維方向が交差するように重ねて接着した木質系材料です。欠けている木や節の多い木など、建材として不向きだった木材も活用して重ね合わせることで強度のある材料になります。また、一般的な木造建築では柱や梁のように「線材」で建物を支えるのに対し、CLTは鉄筋コンクリートのように「面材」で支えることができます。その結果、鉄筋コンクリートのような強度を保ちながらも、素材は木なので建物自体を軽量化することができます。
 現場では、すでに加工された状態の木材を金物でつなぎ合わせていくため、素早く組み立てを進められます。ただしそのサイズや数は木造住宅と比べるとはるかに大きくなります。クレーンを使い慎重かつ的確に設置していきます。
 ショールーム内は一部の壁や天井に木の表情を見せたままのCLTを使い、木のぬくもりが感じられる造りとなっています。木の種類は赤身が美しい杉のほか香川県産桧も使用し、木目の変化も楽しめます。


CLT(Cross Laminated Timber)
木の板を繊維方向が交差するように重ねて接着した強度の高い木質系材料。建材には不向きな木材も材料として活用できる。現場には加工済の状態で搬入し、金具もシンプルなため、工期の短縮が期待できる。


現場名:シンコール社屋新築工事
場所:香川県高松市郷東町
構造:木造
設計・管理:島田治男建築設計事務所
施工:(株)菅組
現場監督:篠原宏明

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〔information〕

KOYOMI

暦を感じる暮らし

このコーナーでは「暦を感じる暮らし。」をお届けします。
例えば、旬の食べ物は何かな? この植物は何かな? 今日は満月かな? など日常で感じるちょっとした疑問を暦をとおして考えてみませんか?


季節の指標にした二十四節気があります。これは太陽の動きをもとにしています。
太陽が移動する天球上の道を黄道といい、黄道を24等分したものです。季節とともにめぐる歳時記は、今も昔も暮らしを豊かにするツールの一つとなっています。

仁尾一齣

毎年4月に満開を迎える八紘山の桜



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